涙色に「またね」を乗せて

「お前さ、マジで転校すんの?」



律樹にそう言われたのは、放課後に寄ったマックでのことだった。

外の身に染みるような寒さとは裏腹に、店内は暖房が効いていて軽いまどろみを誘発させる。そんな中で飲むシェイクの格別さは、言葉では到底言い表し難い。

特大ハンバーガーを頬張っていた彼がそう言った時は、驚愕のあまりシェイクを吹きそうになってしまった。どうにか飲み込んだけれど。


「どしたの急に。するに決まってるじゃん」


甘ったるいバニラ味に、ポテトの塩味を上書きする。油っこいカロリーの味が、疲れた体を癒してくれる。


「だってよぉ……。この時期だと、色々大変なんじゃねえの? 進路とか」

「まぁ大変っちゃあ大変だけど、進学先はこの辺にしようかなって思ってるし。高校と違って大学は割と何処からでも受けれるし、どうにかなるでしょ」

「お前の学力で行ける大学とかあんの?」

「お黙り小僧。脳天カチ割るよ」


それは薄々思ってたよ。でも大学じゃなくても専門学校とかあるし。律樹だって似たようなものじゃないか。

私は案外気が短いらしい。口やかましい女性教師の真似をするように、人差し指と中指をとんとんとテーブルに打ち付ける。

我ながら随分と高圧的な態度だが、決して短くはない付き合いの中ですっかり慣れきってしまった律樹は、その程度では萎縮しない。