涙色に「またね」を乗せて

一面に降り積もった純白の雪。いつにも増して鋭い寒さ。吐いた息は、煙草の煙と同じ真白をしている。

それだけで、街は随分と非日常に見えた。


雪の魔力に魅せられて、精一杯の防寒対策を施し空き地に集合した私たちの精神年齢は、多分そこいらの小学生よりも下だと思う。



「やっば! めっちゃ積もってんじゃん!」


そう叫ぶや否や、穢れなきその純白の地に自らの足跡を残していく。シャリシャリと雪を踏む感覚が気持ちいい。

「しもやけになるよ」という湊の言葉をスルーして、華麗にターンまで決めてみせた。ちょっと回りにくかった。

これで雪合戦をしたり、かまくらを作ったり。雪だるまや雪うさぎを作ってみるのもオツなものだ。

普段は憎々しい冷気も、今はすっかり愛おしい。むしろもっと積もらせてくれるのなら、後二度は気温が下がってもいいくらいだ。


たかが雪程度でこんなにもはしゃぐなんて、我ながら何と安上がりな人間なのだろう。


でもいいじゃないか。いがみ合い争うよりも、僅かな喜びもじっくりと味わった方が、きっと人生も幸せだ。