涙色に「またね」を乗せて

突然の告白に何と声をかけるべきなのか、反応に困っているようだった。視線を数度彷徨わせ、小さく呟く。


「いつ、転校するの?」

「三学期終わったらすぐ」

「何処に、行くの」

「あんまり覚えてないけど、九州の方だったと思う」

「そっか」

「うん」


短く、小さく言葉を交わす。

ぽつりぽつりと、降り始めた雨のように。


やがて穂花ちゃんは、おずおずと私の方を見た。



「……湊君には、言ったの?」


声が出なかった。



いつか話さなくてはならない。ずっと隠し通せない。頭ではそう分かっていても、どうしても切り出せなかったから。


私が居なくなると知ったら、湊はどう思うだろうか。

寂しがる? 傷付く? 絶望する?

また、一人殻に閉じこもる?


沈黙から答えを察したのか、あるいは、訊く前から答えなど分かり切っていたのか、彼女の表情に影が差す。



私もこれ以上、何も言うことが出来なかった。