一月四日。穂花ちゃんは淡いピンクのマフラーを巻いて、大量の林檎と共に我が家にやって来た。

どうやら、青森に戻った際のお土産らしい。白雪姫が齧ったとされる毒林檎よりも、ずっと赤くて艶々している。実際に林檎を丸齧りする人なんてそうそう居ないとは思うけど。

アップルパイでも作ろうかな。と珍しく女子力の高い思考にふけり、そして己の料理スキルを思い出し諦めた。

調理実習の時は大抵洗い物担当だし、昔クッキーを作ろうとしたら何故か煎餅を生み出してしまったことがある。食べてみると、中々に塩味が効いていた。


とりあえず林檎を切って、温かい緑茶と共に部屋に運ぶ。


お行儀よく正座していた穂花ちゃんは、物珍しそうな様子できよろきょろと部屋を見回していた。彼女がこの部屋を訪れたのは、夏休みの勉強会以来だ。その時にはまだ無かったものに、驚きを隠せないらしい。



「これ……、涙衣ちゃんが描いたの?」


「ま、まぁ……」