涙色に「またね」を乗せて

「転、校……?」




突然告げられた一言に、思わず足元がふらついた。



「そうなのよ。パパの仕事の都合でね? 来年の春には向こうに行かなくちゃいけないの」



困ったわぁと頬に手を当てるお母さんに、困っているのは私だと声を荒らげたくなった。

来年からは高三で、進路のことだって考えなくちゃいけないし、律樹や穂花ちゃんとも離れ離れになりたくない。



それに、湊ともやっと両思いになれたのに、ここで離れ離れになるなんてーー。



出来るならずっと一緒に居たい。湊を一人にしたくない。一人になんて、なりたくない。


ずっと崩れることの無いと思い込んでいた崖が、今になって足の踏み場を奪い取る。




落ちた先は、何処までも続く暗闇だった。