涙色に「またね」を乗せて

テレビの前に並んで座り、対戦を始める。普段は全くと言っていい程何も感じないというのに、これから確実に起こるであろう未来を意識して、どきまぎと心臓が不自然なバグを起こした。

それを悟られてからかわれないように、ゲームに全神経を集中させる。隣の青色コントローラーよりも早くゴールできるよう、甲羅を投げ、角に重点を置き、何度も一位をもぎ取った。

が、湊もかなりの負けず嫌い。ありとあらゆる薄汚い手段で見事私を妨害し、抜かされた。

いい感じに体が温まり、白熱してきたところで予約時間が近付いて、後一戦したら家を出るというタイミングでとあることを思い付き、口を開く。


「次の試合で負けた方が、チキン取りに行くってのはどう?」

外はみぞれが降っている。対して、このリビングは暖房とホットカーペットでぽかぽかと暖かい。要は、外に出たくないと言う訳だ。


「乗った」


そうと決まれば話は早い。今まで散々遊び慣れたステージを選び、また新たなゲームを始める。

人道的な容赦など不要。この寒さで外に出るくらいなら、どんな汚い手を使ってでも勝ちたいと思うのは、人として当然のことだろう。

ありとあらゆる妨害工作を施し、加速を繰り返したけれど、それでも僅かに湊の方が早くゴールした。