涙色に「またね」を乗せて

「お邪魔しまーす」


かがんで靴を揃える湊に、微妙に頬を引き攣らせながらいらっしゃいと笑いかける。

「外、寒かったでしょ」

「まぁね。でも家近いから」

「隣だもんね」

何気ない会話を交わしながら、リビングへと続く短い廊下を歩く。


大丈夫、ちゃんと笑えてる。

クリスマスパーティーの約束を取り付けてから、何があっても動じないようポーカーフェイスの練習をしてきた。もし律樹や穂花ちゃんがこの場に居たら、こんなに緊張しなかったかもしれない。

そう思うと二人を若干恨めしく感じたが、それは後日熱々の惚気話をみっちり問いただすことで水に流してやろう。私はとても心が広い。


時刻は只今十六時。夕飯時にはまだ早い。故に本日のざっくりとした予定は、適当にゲームをして過ごし、事前に予約した時間にテイクアウトしたローストチキンを取りに行き、ご飯とケーキを食べるという感じである。


初っ端から話し始めるのかと一瞬緊張したが、湊は真っ先にゲーム機の元へと向かっていき、数あるソフトの中から一つを手に取って、「僕これやりたい」と言い出した。