涙色に「またね」を乗せて

「夫婦旅行?」



久々に家族揃った夕食で、素っ頓狂な声を上げる。


今日の献立はハンバーグ。一口噛む毎に肉汁溢れる、ケチャップとウスターソースを混ぜたソースにもよく合う絶品だ。途中でドジさえ踏まなければ、私の母は料理上手な部類に入る。


「そうなの。パパが来週から北海道に出張でね? 二十三日には終わるから、ママもそのタイミングで北海道に行って、二人で観光でもしてこようと思うの」

中高生みたいにキャピキャピしたお母さんを、愛しげな眼差しで見守るお父さん。見ているこっちが恥ずかしくなるようなラブラブっぷりだ。他所でやってくれないかな。


「別にいいけど、この時期の北海道って凄く寒そう」

「大丈夫だよ。ママにはクリスマスにコートを買ってあげるから」

「あらありがとう。でも、プレゼントは当日まで内緒にしてくれた方が嬉しいものよ?」


結婚してもう二十年近く経つと言うのにこの仲睦まじさ、世の夫婦の三分の一が離婚している時代とは到底思えない。

この二人のラブパワーを離婚寸前の夫婦に分け与えれば、世界はもっと平和になるのではないだろうか。ところで、私には何も買ってくれないのかしらん。