校門を出ると、外はもうすっかり暗くなっていた。

容赦ない寒風が身に染みて、体をぶるりと震わせる。日が沈んで冷酷な瞑色に染まった空が余計に寒々しさを助長させて、いくらコートやマフラー、手袋で武装しているとはいえ、寒さを完全に防ぎ切るのは不可能だった。


「うぅっ、寒い。北半球が私に牙を向けている……」

「言っとくけど今の発言、全然面白くないからね」

「うるっさい!」


腹立つことこの上ない湊の発言はさておき、このまま冬が続いていくと、そろそろ日本でオーロラを拝めそうだ。それくらい、今年の冬は寒い。


「ってか、そんな薄着で、穂花ちゃんは寒くないの?」

神に祈るように使い捨てカイロを両手で揉みほぐす律樹の横で、コートも着ずにマフラーともこもこの耳当てだけで充分暖かそうな穂花ちゃんを後ろ目に眺める。


「全然平気。青森の方がずっと寒いし、こんなの秋同然だよ」


当然のようにうふふと微笑む穂花ちゃんに、中々に強かなものを感じた。