涙色に「またね」を乗せて

現在時刻は朝の六時。朝陽だって寝ぼけ眼な早朝でも、動きやすさ重視したスニーカーを履いた足取りは軽い。寝不足によるハイテンションとも言う。

理由はさておき、深夜と早朝の外出に胸が躍るのは、これはもうあるあるだろう。しかも今日は待ちに待った修学旅行。冷静でいる方が何倍も難しい。それと、新幹線って謎に楽しい。

事前に規定されていた席を探し、窓側を穂花ちゃんに譲られたのでお言葉に甘えて奥に詰める。帰りは彼女が窓側だ。

この新幹線は快速なので、到着には二、三時間しか掛からないらしい。仮眠を取ろうかと思ったけれど、勿体無いと考えを改リュックからお菓子をまさぐり出した。

嬉し懐かしなノスタルジック感溢れる駄菓子達。添加物たっぷりで体にはあまりよろしくないけれど、その分お財布には優しい。

キャベツ太郎の袋を開けると、音を聞きつけたのか前の席に座っている律樹から「この時間に食うと胃もたれすんぞ」というご指摘を頂いた。ごめんねお母さんと言ったら、隙間から手が伸びてきて指を捻られた。痛い。

仕方なくその手にキャベツ太郎を握らせて、ついでに湊にも一つ分け与える。律樹はラムネを、湊は塩キャラメルをくれた。穂花ちゃんにもあげようとしたら、彼女は既に天使の寝顔で心地よさそうに眠っていた。