涙色に「またね」を乗せて

「ーーって訳なんだけど、大丈夫?」

「うん。やっぱり味噌にしようと思う」

「何の話?」

怪訝を通り越して何処か心配そうな顔。「大丈夫? 病院行く?」と頭の心配をされているのだが、どうせなら胃袋の心配をしてくれ。そして食べ物を恵んでくれ。さっきから空腹で死にそうなんだ。


「で、何の話?」

冗談はさておき、聞き逃した言葉を尋ねる。恐らくは、体育祭関連だろう。リレーのメンバーが決まらないとか、そんな感じの。

「リレーのメンバーをね、一学期に測った五十メートル走のタイム順に決めようって話になって、そしたら涙衣も出ることになるんだけど、大丈夫?」


お、近い。


「全然大丈夫。他には誰が出るの?」

「僕と律樹と、後は陸上部の人」

「ふーん」


体育祭のリレーは、他の競技とは違い学年別に行われる。とはいえ、優勝したクラスが所属する組に加点が入る為、応援合戦の次くらいには盛り上がる。

別にこの歳になって命懸けで優勝を狙うとまでは言わない。しかし、やるなら徹底的に。全力を尽くして優勝を狙ってこその高校生だ。

にっしっしと気味の悪い笑みを浮かべた時、六時間目終了のチャイムが鳴り響いた。