涙色に「またね」を乗せて

美少女のコスプレ姿は諦めて、種目決めに専念する。被ったらジャンケン。仁義なき平等な戦いだ。

己の拳に力を込める。いざという時は全運勢をこの手に賭けたって惜しくはない。目当ての競技を勝ち取る為ならば。

と意気込んだはいいものの、存外あっさりとパン食い競走と障害物リレーの出場が決まってしまい、安心したようながっかりしたような、何とも言えない微妙な気持ちにさせられたのだった。

最低二種目のノルマをあっさりと達成して、思わぬ空き時間をゲットしてしまった。

もしこれが放課後ならお役御免と言わんばかりにトンズラしてしまうのだが、悲しきかな今は六時間目のLHR中。勝手に帰る訳にはいかない。

種目決め会議の方は、中々順調には進まなかった。人気の競技は倍率が高いし、逆に長距離走は誰もやりたがらない。

それでもクラス一同の『絶対放課後は残りたくねえ!』という強い想いの元、各々が協力して妥協案を出し、どうにか時間内には終わりそうだ。


放課後は久々にラーメン屋でも行こうかなと、さりげなく空腹を訴える腹部を軽く擦る。

醤油ラーメンかな。いや、たまには豚骨生姜味にしてみようか。でも塩も捨て難いしなー。頭の中は、ラーメンのことでいっぱいだった。

だから湊から話しかけられていたことに、今の今まで気付かなかった。