涙色に「またね」を乗せて

近くの石階段に座り込み、ほかほかのたこ焼きパックの蓋を開ける。

爪楊枝で刺して口に放り込むと、濃厚なソースとマヨネーズ、そして青海苔のジャンク的な美味しさが舌の上に乗り、噛めば噛む程たこの食感が味わえる。


茶色い食べ物って、どうしてこんなに美味しいんだろう。


湊の方も、最初こそは自分が賭けに負けたことに釈然としない様子だったが、次第にその味の虜になり、私に奢らされた事実すらも綺麗さっぱり忘れていた。

先程のおセンチな気持ちは何処へやら。たこ焼きの虜と化してあっという間に八つ全てを食べ切り、メインディッシュのおかげですっかりお腹いっぱいになった。

ゴミ捨てのついでに買いたいものがあると言われ、一人で座って待ちながら、最近持ち歩き始めたコンパクトを開いて顔を映し出す。




「よかった、青海苔付いてない……」



実は、歯に青海苔が付いていないか、密かに心配だったのだ。




もしも湊が戻ってくるまでにこの確認を終えられなくて、しかも歯に青海苔が付いていたならば、それはもう乙女の終わりの始まり。


無事乙女の尊厳を守り抜き、ホッと一安心する。

後はのんびり待つだけだ。ゆっくりと肩の力を抜いて、慣れない下駄に痛めつけられた足を摩る。