涙色に「またね」を乗せて

そこで夏祭りの話が出てくる。



毎年この地域で行われる夏祭りは、各地から来場者が訪れたり、盛大な花火が上がったりするような大規模なものではなく、よくある地元のお祭りといった感じたが、それでも娯楽に飢えた人々にとっては貴重なイベントである。


幸いにも最初のデートは順調だったそうで、土台作りはもう充分だ。この熱量を保ったまま次に繋げることが出来れば、きっと彼女の恋は叶う。


夏祭りという非日常的な空間は二人の仲を近付けるにはうってつけで、その上浴衣でも着ていけば、普段とは違う服装に胸をときめかせることだろう。



そんなこんなでどういう訳か彼女の片想いを知っていた湊と共謀して二人で夏祭りに行かせるよう仕向け、四人ではなく二人で行くことになったという次第である。


とはいえ、お祭り女の私が今日は家で大人しくしていますかと訊かれたら答えはノーで、四人全員同じ祭りに行くにも関わらず二手に分かれて行動するという、ちょっと可笑しなことになってしまった。


待ち合わせ場所の、河原近くの柳の木。湊と二人でいかというのにわざわざ待ち合わせを選んだのは、当初は四人で行く予定で、メンバーが二人減った後に現地集合からどちらかが片方の家に迎えに行くという措置に変更しなかったからだ。