涙色に「またね」を乗せて

そして現在に至る。


真夏の空は今日も雲一つ無い晴天で、普段なら苛ついてしまうそれも、今はとても清々しい。太陽に手を翳して、笑みすらも漏らしそうだった。

パラソルの下でいそいそと水着に覆われていない肌に日焼け止めを塗りたくる。私服に比べて布面積が少ないので、さっきから日焼け止めの消費量が半端ない。

今私が着ているのは、黒のホルターネックビキニだ。ボトムス部分がボタニカル柄になっていて、おかげで地味な印象にならない。

穂花ちゃんは、淡いパステルカラーのオフショルダータイプの水着を身に纏っていた。砂浜に蔓延るお色気ムンムンのお姉さま方と比べると少しガードが固いように見える。

けれど、柔らかな布が幾重にも重なったミニスカートから伸びた白く細い脚やオフショルダーから覗く肩や臍は、水着が大人っぽさより可愛らしさを重視したデザインな分健康的な色香を放ち、ある種の上品さすらも醸し出していた。

その証拠に、さっきから律樹がそわそわと不自然な動きを繰り返している。思春期め。

ようやく日焼け止めを塗り終わり、ビーサンを脱ぎ捨てて浜辺へと駆け出した。剥き出しの素足に触れる砂は、この強烈な太陽光の数倍は熱を孕んでいた。でもそれすらも気にせずに、海を求めて一直線に走り続ける。