「今日もおばあちゃんのご飯
美味しかった」
「よかったね」
畳の上で朝日奈が寝転がって伸びをした
くつろぎ過ぎだろ
「ねー、星野…
夏休み楽しかった?」
「別に…」
「じゃー、寂しかった?」
「別に…」
「おばあちゃんは寂しかったって言ってたよ」
「ばあちゃんは、暇人だからね」
「寂しかったなら
連絡してくれればよかったのに…」
「だから、別に寂しくないし
オレ、朝日奈の連絡先知らないから…」
ホントは
朝日奈のこと
毎日考えてたのに…
「そっか…
じゃー、教えてあげるね」
朝日奈が起き上がって
ポケットからスマホを取り出した
朝日奈は
寂しかったり
しなかったのかな?
先輩とは
アレからどーなってるのかな…
朝日奈のQRコードを読み取った
「先輩とは、会ったりした?」
「会ってないよ」
「連絡とか、まだしてたりするの?」
「してないよ」
「まだ、先輩のこと、好き…?」
「先輩、学校辞めたんだよ」
「え!なんで?」
「彼女なのかわからないけど
子供ができたんだって…
それで働くのに辞めたって…
ウワサだけどね」
「朝日奈的には
それは、どぉなの…?」
「ん…?
うん、まぁ…
私には、よくわかんない
…
好きな人の赤ちゃん産むのって
きっと幸せだよね
…
でもその好きな人が
私の知らないところで知らない人と
そーゆーことしてたら、ヤダな…」
知らないところで知らない人と…
胸が
チクチクした
「あ、別に寂しくなくても
連絡してきてもいいよ!」
朝日奈の顔が見れなかった
「ん?星野…?
…
どーした?
やっぱり、寂しかった?
…
寂しかったなら
おばあちゃんみたいに
抱きしめてくれてもいいよ!」
そーゆーことしてたら、ヤダな…
畳に映った朝日奈の影が
オレに近付いたのがわかった
ゆっくり顔を上げたら
朝日奈がいて…
あの夏の日を
思い出した
忘れたくても
忘れられない
消せない
過ち
「星野…?」
「朝日奈…」
すぐ目の前で
朝日奈が待ってる
寂しかったなら
抱きしめてくれてもいいよ
冗談なのか本気なのかわからない
言い方だった
でも
目の前の朝日奈は
真剣な顔をしてた
朝日奈…
知らないところで知らない人と
そーゆーことしてたら、ヤダな…
その言葉が邪魔をして
オレは身を引いた



