『君』の代わり。


「ただいま」

「おばあちゃん!ただいまー!」



誰の家だよ



「あー!ひなちゃん!
もぉ来ないと思ってたよ」



ばあちゃんが朝日奈に抱きついた



何十年も会えなかった家族が

対面したみたいな光景



オレも混ざりたいと思いながら見てた



「夏休みね、バイトが忙しくて…

いつもご馳走になってるから
コレ…おばあちゃんにお花買ったの!
おばあちゃん甘いの食べれないって
星野が言うから…」



「なに、別にいいのに…
ひなちゃんが顔見せてくれるだけで
嬉しいのに…」



ばあちゃんは嬉しそうに

朝日奈が買ってきた花を受け取った



「ひなちゃん、元気だった?」



「うん、元気、元気…
おばあちゃんは?
夏バテしなかった?」



「ひなちゃん来なくて寂しかったよ」



夏休み中も

ばあちゃんは

いつも朝日奈のご飯も作って待ってた



来ないってわかってても

毎日たくさん作ってた



残ったぶんは

ばあちゃんが可愛そうだから

オレが食べてた



「私もおばあちゃんに会いたかったし
おばあちゃんのご飯も食べたかった」



朝日奈って

こんな元気だったっけ?



中学の時は

こんな感じだった



高校で会った朝日奈は

先輩を好きだった朝日奈は

こんな元気じゃなかった気がする