『君』の代わり。


「星野!今日バイト?」



帰りの玄関に朝日奈がいてほしいと

思ってた



「休み」



そのために

休みを取ってた



一緒に玄関を出た



「星野、夏休み何してた?」



「ずっと、バイト」



「私もバイトしてたんだ」



「へー…そーなんだ」



それでうち来なかったんだ



「東京帰った?」



「帰ってない
東京から家族が来た」



「おばあちゃん喜んでたでしょ!」



「うん…」



朝日奈が来てる時の方が

嬉しそうだった


それは

もちろん

オレも



「夏休みバイトしてお金入ったから
東京遊びに行きたいな!
星野、冬休み連れてってよ!」



「ホントに?」



「うん
欲しい物いっぱいあるし
行きたい所もいっぱいあるよ!」



そーじゃなくて

ホントにオレと行くの?



「お腹空いたね…

今日、私がおごってあげる!
いつもおばあちゃんのご飯
ご馳走になってたお礼!」



「東京行くまでにバイト代なくなるよ」



恥ずかしくてそう言った


ホントは朝日奈とデートみたいで

嬉しかった



「おばあちゃん、何が好きかな…」



「え…?」



「おばあちゃん、ケーキ食べれるかな?」



「え?」



「それとも、羊羹とかがいい?」



なんだ

ふたりで食べるんじゃないのか…



「ばあちゃん病気だから
甘いの食べれない」



「なんだ…
じゃあ、やっぱり
今日もおばあちゃんのご飯
ご馳走になろうかな」



夏休みがなかったみたいに

1学期の続きが始まった