どんなにヒマでも

東京には帰らなかった



両親と兄が2日だけ泊まりに来た



ばあちゃんが朝日奈の話を

母親に嬉しそうに話してた



「やっぱり、女の子はかわいい」



ごめんね

オレ男の子で



ばあちゃんは

ずっとひとりで寂しかったのかな?



男の子でもよかったら

オレ

ずっとばあちゃんちにいるよ



ばあちゃんが作ったご飯食べて

ここから通える大学行って

ここから通える会社に就職して

ずっとここで…



ずっとここで…



そのうち朝日奈は

結婚して



オレはばあちゃんとふたりで

相変わらず

ばあちゃんのご飯食べて



それで

いつか

ひとりになる



何もない

ここで



「ちゃんと進路考えてるか?」



父親の声で

我に返った



「あー、うん、まぁ…」



具体的には

何も考えてなかった



「まだ1年だと思ってても
あっという間に卒業なんだからな
向こうで就職するなら
大学も向こうの方が活動しやすいし
大学だって職種だって幅広い
早めに大学の資料取り寄せて…………
………………………………………………」



父親の話は

いつもオレを無視してる


聞きたくない


だから

いつも本を読むしかなかった