ばあちゃんのご飯を食べたあとは

いつも仏壇の部屋で

朝日奈はスマホを見て

オレは本を読む



「私もピアス開けたいな…」



「朝日奈は、そんなことしなくていいよ」



ピアスなんて開けてほしくなかった



「だって、星野も開けてたじゃん!
最近、してないね…」



朝日奈の視線が近付いて

オレの耳元に移った



「うん…してない」



「なんでしてないの?」



「ん?ばあちゃんがそーゆーの嫌いだから…
それに朝日奈、
あの時、あんまりいい顔しなかったよね?」



あの時の

朝日奈の顔をなんとなく覚えてる



髪型は似合うねって言ってくれたのに

ピアスについては触れなかった



「うん…
なんか、ヤダった
星野が、星野じゃなくなったみたいで…」



うん…



アレは

何かの償いだった


アレは

何かの間違いだった


アレは

何かの区切りだった



急に東京に帰ったのも

あの人を求めてしまったのも

ピアスを開けたのも



全ての行為が

朝日奈にふられて

オレの気持ちを殺すためだったのかも…



「痛い…?」



朝日奈の手がオレの耳を触った



もっと近くなって

ドキドキした



「ん…もぉ、痛くないよ」



朝日奈の手を

そっと退けた



気持ちは

死んでなんかなくて



まだ

ずっと



どんどん朝日奈を

好きになってる



オレに触れないで



そこからまた

気持ちが生きてしまうから…