『君』の代わり。


酷く焦った



「ごめん、オレ…
朝日奈、嫌だったよね
せっかく先輩といたのに…
ごめん、どーしよ…」



朝日奈は

やっぱり先輩といたかったんだ



取り返しのつかない事をした気がした



心臓がバクバクいって

さっきオレの代わりのバイトを探すのに
焦ってた店長より焦った



店長、ごめん…て

今更

思った



「ごめん、朝日奈…
ホント、ごめん…」



オレの勘違いだった



泣いてる朝日奈に

謝ることしかできない



「先輩に謝るわ、オレ
一緒に行こう
間に合うかな…
朝日奈、先輩と連絡取れる?
これから戻ろう
ホント、ごめん」



朝日奈と先輩を邪魔した



自分が情けなくなって

泣いてる朝日奈を見てたら

オレも泣きたくなった



なんだ

やっぱり

助けなんか求められてなかった



やっぱり

朝日奈

先輩のこと好きなんじゃん



なんで

オレ

こんなに朝日奈のこと

好きなんだろう



こんなに…

こんなに…



なんで

オレ



ムカつくのに

朝日奈が

嫌いになれなくて



辛いのに

朝日奈を

好きなままで



好きなのに

朝日奈は

オレを好きじゃない



バカじゃん

オレ