学校を出てバイトに向かった
でも
なんとなく
朝日奈が気になった
先輩に手を引かれながら
朝日奈は
オレを見た気がした
星野、助けて!って
目をしてた気がする
オレの都合のいいように
考えてるだけ?
朝日奈が
先輩を選んでるんだから
オレに助けなんか…
言えないようにしたのは
求めることをできないようにしたのは
オレか…
こわいって
朝日奈はオレに言ってくれたのに
オレが勝手にムカついた
あの日
朝日奈は
オレに助けてほしかったのかな?
「店長!帰っていいですか?」
コンビニのユニホームに着替える前だった
「え!星野くん、本気で言ってる?
どーした?具合悪い?
なんかあった?
え、どーしよ…誰か…」
「本当にすみません
緊急事態かもしれないんで…」
「え、彼女できそう?
星野くん、彼女できそう?
え、もぉ彼女できた?
それなら仕方ないね…
え、サボり?
じゃあ…誰か…どーしよ…」
「すみません
ありがとうございます」
コンビニを走って出た
急いで学校の方向に戻ったけど
朝日奈と先輩の姿はなかった
カラオケ…
学校近くのカラオケまで走った
途中で朝日奈と先輩が歩いてるのが見えた
もし朝日奈が笑顔だったら
そのままふたりを見送ろう
やっぱりオレの勝手な勘違いだった
もし朝日奈が笑顔じゃなかったら…
「朝日奈!」
走りながら朝日奈を呼び止めた
振り返った朝日奈は
笑顔じゃなかった
「星野…」
泣きそうな顔に見えた
そのまま朝日奈の手を掴んで
先輩から逃げた
どこまで走るのかな…って
自分でも思うくらい
朝日奈を掴んで走った
このまま
朝日奈と
ずっと
どこかに行けたらな…って
また自分勝手に
考えた
朝日奈は
絶対ついて来ないだろうな…
今だって
朝日奈を連れて来てよかったのかな?
朝日奈の気持ちは
ちゃんと確認してない
そう思ったら
少しずつスピードが落ちた
朝日奈の手を離した
息を整えながら
首に伝う汗を腕で拭いながら
朝日奈を見たら
朝日奈の頬には
汗じゃなくて
涙が伝ってた
朝日奈は
泣いてた



