こっちに来て2ヶ月が経った頃には
東京のことを
殆ど思い出さなくなった
朝日奈が声を掛けてくれなかったら
オレはまだ教室の隅にいたと思う
輪の中で笑ってることもなかった
朝日奈があの時話し掛けてくれなかったら
オレはこの町に来たことを
後悔してたかもしれない
遊びに行く時も必ず誘ってくれた
「オレも行ってもいいの?」
「うん、なんで?
大丈夫だよ
ちゃんと案内するから」
朝日奈はホントにこっちを案内してくれたけど
オレが朝日奈に東京を案内することは
たぶんないんだろうな
なんとなくそう思いながら
口には出さなかった
いつも
みんなで新作のフラペチーノを飲んで
みんなでプリクラを撮る
それしかないけど
楽しそうに笑ってる朝日奈がかわいくて
いつも輪の端から見てた
たまに目が合って
恥ずかしくてそらした
目が合う回数が少し増えた気がして
朝日奈から目を離したくないなって
思うことが増えて
授業中はいつの間にか朝日奈を目で追ってた
好きだな…って
自分の気持ちに気付いた



