それから朝日奈と一緒に遊ぶようになった
学校の帰りは
通学路途中の跨線橋の下で
みんなで話した
だいたい先生の悪口から始まって
3年生の先輩が手を繋いでたのを見たとか
学校の中とは少し違った話ができて
楽しかった
オレはいつも
その輪の端にいて
みんなの話を聞いてた
輪に入れてくれたのも
朝日奈だった
あっという間に30分経ってて
見回りに来た先生によく怒られた
「そろそろ先生来るよ」
「帰ろっか…」
「オレ、お腹へった」
「あ、私、飴持ってるよ!」
「マジ!」
「喉乾いたー水筒もぉないー」
「公園に水道あるよ!」
近くの遊具もない小さな公園でまた話す
向こうにいる時は考えられなかった
急いで帰って塾の宿題をしてた
友達が何をしてるかも知らなかった
友達はそこそこいたけど
どんな会話をしてたか
特に覚えてない
男女一緒に話すことも滅多になかった
こっちはクラスも少ないせいか
男女わりと仲良かった
部活がない日曜日は
男女混ざって電車に乗って遊びにも行った
電車から見る景色は
ビルなんかなかなかなくて
田んぼばっかりだった
上を見上げることに疲れてたオレは
こっちの方が向いてるのかもしれない
だんだん
本当の自分になれてる気がして
嬉しかった



