「朝日奈、着たー?」
「待って…」
「まだー…?」
「ちょっと、もう少し…」
「もぉいい…?」
「ちょっと、待って…」
「もぉ待てないかも…」
後ろを向いてたはずの
星野の腕が
私の前に伸びた
星野に後ろから抱きしめられた
「きゃ…ちょっと…
まだボタンとめてない…」
「だって、朝日奈、遅いんだもん」
「もしかして
着替えてるのずっと見てた?」
「ん…見てないと思う」
「あ!見てたでしょ!」
「見てたかな?」
「もぉ…」
「で、どぉだったの?
ワンピース着た感じ
サイズ、ピッタリ?」
「ん?んー、大丈夫みたい」
星野はᎢシャツなのに
私だけワンピースなんか着て
恥ずかしくなった
ワンピースなんて
ふだん着ないし
「着替えるから
星野、またあっち向いてて…」
星野に感想を聞くのも
恥ずかしかった
「朝日奈、ハッキリ言ってもいい?
さっき、何着ても同じって言ったけど…」
「なに?
感想聞いてないけど…
やっぱり似合わないとか言うの?
私もらしくないかな…って思ったからいいよ
着替えるね…」
「朝日奈、かわいいね
似合うよ」
「思ってないこと言わなくていいよ」
「思ってるよ
もったいないからまだ着ててよ
ばあちゃんもきっと
かわいいねって言うと思うよ」
「見ないでよ…
恥ずかしいから…」
「見えるし、見たいもん
リップも買ってなかった?
その服に似合うんじゃない?
塗ってみてよ」
「うん…」
限定色のリップも買った
誰も限定色なんて気付くわけないけど
欲しかった
「キレイな色だね」
鏡越しに
星野と目が合った
「うん、東京限定の色でね…」
「かわいいよ、朝日奈」
ーーー
振り返ったら
キスされた
「せっかく塗ったのに…」
「また塗ってよ」
「星野…イジワルしないでよ
…
さっきからずっと…
…
ずっと…
…
ドキドキするじゃん」
「オレもするよ
朝日奈が、かわいくて…」
引き寄せられるみたいに
抱きしめ合った
星野とふたりの世界
ワンピースも
リップの色も
関係ないくらい近くて
私の胸の音と
星野の胸の音が
重なる
「ねー、星野…」
「なに?」
「星野、一緒に連れて来てくれて
ありがと」
「朝日奈、一緒について来てくれて
ありがと」
引き寄せられるみたいに
キスをした
ーーー
ーーー
ーーーーー
星野と
ふたりしかいない世界



