ーキキッー

「克、今日はありがとう。」

家の前まで送ってくれた克に舞が言った。

「俺もありがとう。
勉強教えてくれたのはもちろんだけど
一緒にいれて嬉しかった。
…ただ、身体キツくない?
俺、今日、本当浮かれすぎて
舞に嫌な思いさせたなと思って。
…本当ごめん。」

克が俯いて言った。

「…大丈夫だよ。
私こそ、…その…声とか、…
恥ずかしいとこいっぱい克に見られて
…嫌いになってない?」

舞は真っ赤になって克に言った。

「嫌いになるわけないでしょ?
もっと、好きになったし
本当、舞の全部が可愛いかった。
…いっぱい、頑張ってくれてありがと。」

克も顔を赤くして舞の頭を撫でた。

「克、大好きだよ?
今日でもっと、克でいっぱいになった。」

「俺も。すっげー好き。
また、これから俺んちに
連れて帰りたいくらい。」

克がニコッと笑う。

「来週からテスト、頑張ろうね。」

「おう。全部終わったらまた遊び行こう。」

「うん。楽しみにしてる。」

「…じゃあ、また。」

「…うん。」

克は自転車を帰る方向へ向けた。

「…克、ちゅうして?」

寂しくなった舞が咄嗟に克に言った。
自分から出た言葉に気付き真っ赤になる舞。

「ごめん。本当、今の気にしないで。」

両手で顔を隠す舞。

「…無理。」

ちゅ。

片手で自転車を支えながら
克が舞の方へ身体を乗り出しキスをした。

「寂しくなったら、いつでも言って?」

「…うん。」

「…じゃあ、また。おやすみ。」

求められること
自然に自分も求めること
初めての感情や自分の行動に
戸惑いながらも、幸せなドキドキを胸に
舞は克を見送った。