夏のはじまりを知らせるように
澄み切った青空と大きな白い雲が
広がっていった。

「…克、今日何か凄く大人の人みたいだった。」

自転車を漕ぎながら舞が言った。
爽やかな風が気持ちいい。

「だいぶ緊張したー。」

「嘘、全然そんな風にはみえなかったよ。」

「いや、ガッチガチだから。
でもお母さん優しくってよかった。
帰れーって言われたら
どうしようかと思ってたから。」

「お父さんもお母さんも大丈夫だよ。
そんな感じじゃないから。」

「克のお父さんお母さんは?
今日いらっしゃる?」

「ああ、今日はかぁちゃんだけいるかな。
全然大丈夫だよ。舞のこと言ってあるし。」

「緊張するよ〜。あんなしっかりした
自己紹介みせられたら。」

「大丈夫だって。俺ん家、皆男ばっかだから
舞きてくれたら、喜ぶはず。」

「そうだといいけど。」

緊張した面持ちの舞。
それをみて克が笑った。

「舞、可愛いーな。」

「へ?何で。」

「さっきから、ずっとグルグル
考えてる顔してる。」

「…すぐ顔に出ちゃうね。」

そう言って舞も笑った。