ー週末ー

玄関の外で待つ舞。
しばらくすると克が迎えに来た。

「よっ。お母さんかお父さんいる?」

「お父さんは仕事だけど、お母さんはいるよ。」

「挨拶してっていい?」

「そんなのいいよー。出かけるって言ったし。」

「だーめ。」

「…わかった。ちょっと待ってて。」

そう言うと舞は家の中へ入っていった。
シャツの皺を伸ばす克。
数分後、舞とお母さんが一緒に出てきた。

「おはよう。舞の母です。」

「おはようございます。
舞さんと付き合っている脇田克です。
柳川中学校卒で、剣道してます。」

「あら、そうなの?
舞が最近機嫌よかったのは
克くんと付き合うことになったからなのね。」

「ちょ!お母さん!!
余計なこと言わないで。」

舞が顔を赤くして言った。

「…舞さんのこと
大切にしたいと思ってます。
これから御迷惑をおかけすることが
あるかもしれませんがよろしくお願いします。」

キリッと前を向いて真っ直ぐに話す克
舞は恥ずかしい気持ちも忘れて
すっかり見惚れてしまっていた。

「こちらこそ。1人娘だから
わがままなところがあるかもしれないけど
その時は叱ってやってね。
息子が欲しかったから、こんなはじめての
彼氏が素敵な男の子で嬉しいわ。
これからよろしくね。」

「はい!よろしくお願いします。」

「ふふ、舞よかったね。
今日は楽しんできてね。いってらっしゃい。」

お母さんはにっこりして
舞たちを送り出してくれた。

『いってきます。』