「はは、また真っ赤になった。
…可愛いーのな。さくらちゃん。
俺、すぐる。よろしく。」

「…さ、さくらじゃない!…です。」

声を少し上擦らせて舞が叫んだ。

「はは、…わ!やべっ。
遅れるわ!またな、さくらちゃん。」

ポンっと舞の頭に手を置くと
すぐるは体育館の方へ駆けていった。

「…な、なんなのー。
てか、緊張したー。あんなおっきい人と
話すって初めて。…すぐる…先輩か…。」

すぐるが置いたように
舞もポンっと自分の頭に手を置く。

はじめて感じる小さな胸のドキドキ…
舞の心の奥はじんわりと暖かくなっていた。