自転車置き場に着くと
克はそのまま抱っこして荷台に乗せてくれた。

「カボチャの馬車じゃなくて
オンボロ自転車っていうのが残念だけど。」

「ふふ、でも、本当にありがとね。
いっつも迷惑かけてばっかり。」

「いーの。それに迷惑じゃないから。
…帰るよ。また掴まってて。」

克は舞の手を腰に回すと
自転車のペダルを踏み出した。


「…克?」

「んー?」

「大好き。」

舞は頭をコツンと克の背中にくっつけた。

「俺も。」

克は舞の手をぎゅっと握る。

「あー。夏もあっという間だなー。」

「そうだねー。
夏休みもすぐ過ぎちゃいそう。」

「部活、ほぼ毎日だからさ
ゆっくり会えないかもしれないけど
ちょくちょく会おうなー!」

「うんっ!もちろん。」

風を切って自転車を走らせる2人。
気持ちのよい夏の夜風が2人を包んでいた。