ハツコイ〜僕らははじめてだった〜

「舞、浴衣どんなの?」

家までの帰り道、克が舞に尋ねた。

「ん?白地に赤いお花がのってるやつ。」

「いいね。楽しみ。」

克が優しく微笑む。

「克は?甚平どんなの?」

「んー、どんなのだったっけ。
兄ちゃんのおさがりだからなー。」

「ふふ、当日のお楽しみだね。」

「楽しみかどうかはわからんけど。
でも楽しみだな。皆で行けるの。」

「うん、直樹達も一緒でよかった。」

「俺ん家集合って行ってたけどさ
俺、舞のこと迎えに行くよ。
こっちから一緒行こ。」

克が言った。

「え?でも会場克の家の近くなのに。
わざわざ大変じゃない?」

「メンズがチャリで来て、女の子は
それぞれ2ケツすればいいじゃん。
浴衣でずっと歩くの大変だから。」

「…いいのかな。甘えちゃって。」

「女の子はいいのよ。甘えて。
それに男の子はぎゅうってされたいのよ。」

「そういうもの?」

「そういうもん。だから大丈夫。」

「ありがとう。そしたら皆に言っとくね。
集合場所は三角公園でいいかな?」

「うん。あ、裕子ちゃんは川崎中だったよね?
直樹が先に迎えに行ってあげたらいいね。」

「そうだね。克、いつもありがとう。」

舞が克のシャツを握って言った。

「んー?大丈夫だって。
それより、夏休み、部活とかの合間に
いっぱいデートしような。」

「うん!嬉しい。」

これからはじまる夏休み。
青く澄み切った空に、真っ白の
飛行機雲がかかっていた。