「舞、面談どうだった?」

「うん。進路…桜ヶ丘大学が
いいんじゃないかって。」

学校からの帰り道、2人は今日の
個人面談の話になった。

「桜ヶ丘…結構偏差値高いよな?」

「うん。そうだよね。
将来のこと考えたら、そこが
いいんじゃないかって、先生が。」

「…そっか。
舞はもう決まってるの?
将来の夢。」

「…うん。学校の先生になりたいなって。」

「おー!舞に合ってるよ。
俺も舞に教えてもらって、国語解けたもん。」

「本当?嬉しい。
でも頑張らなきゃ。数学苦手だし。」

「俺も協力するな。
わからないところ教え合いっこしよう。」

「うん。心強いよ。
…克は?どうだった?進路。」

「俺も実は、桜ヶ丘大学薦められた。」

「え?克も進学?
一緒のところ目指せたら嬉しいけど…
剣道強いところに行くのかと思ってた。」

「んー、舞が言うように正直迷ってる。
俺、将来警察官になりたいんだ。
ただ、剣道も本気で続けたいってのもあって。
…そしたら、もう一個、薦められてさ。」

「もう一個?」

「うん。龍南。」

「龍南?有名だよね。
ここからだと3時間半くらいかな。」

「うん。龍南だったら
あっちに住むことになると思う。」

「…そっかぁ。
そしたら毎日、こうやっては会えなくなるね。」

「…まだわかんないから。
舞と一緒のところ行きてーし。」

「会えないのは寂しいけど
それよりも、克が行きたいところに
行ける方が嬉しいよ。
休みの日とかは会いに行けるし。
…どこにいても大好きな気持ちは
変わらないから。」

「…うん。
本当、舞って最高な。
剣道…今より頑張るわ!」

克は力強く答えた。

「うん。私も勉強頑張る。」

「おう!舞先生…って
何か、響き、エロいな。
悪いことしてる気分になる。」

「もぉ、…AVの見過ぎ。」

「バレた?…んー、でも舞ならなれるよ。
いい先生に。応援してるし、俺も
舞がこの先、どこに行ったとしても
大好きだから。」

「…克、片手貸して?」

自転車のハンドルを握ってた左手を離す克。

「ん?」

舞は克の手をぎゅっと握った。

「バランス…取りずらいかもだけど
…こうしてたい。」

家までの帰り道、2人は固く握った手を
ずっと離さなかった。