ネックレスが揺れる胸元に目をやると
肌が小さく濃い赤紫色に変わっていた。

「これでおあいこな?」

「…うん。」

そう言うと2人は恥ずかしそうに笑った。

「…にしても、本当舞はどこでも
煽ってくるんだから。」

舞を抱きしめながら克が意地悪く言った。

「煽ってなんかないよー。
だって…全部はじめてだから
声も我慢できないんだもん。」

真剣に言う舞。

「…もー、本当うちのお嬢さんは。
まじ、よく耐えてる俺。」

「耐えてるって、嫌だった?」

克の言葉に心配そうに聞く舞。

「違くて。舞が可愛いすぎて
すぐ抱きたくなるってこと。」

「だき…!?ばか。変態。」

バッと身体を離して
グーパンチをする舞。

そんな舞をもう一度抱きしめて
克が真剣な顔をして言った。

「でも、本当こういうこと話すのも
余裕ない顔も、声も…全部俺のな?」

いきなり大人の男の人のような
声を出す克に舞の痕が疼いた。

「うん。…克もだよ?」

「あたりまえだろ。」

「だって、キスも痕も…
スムーズすぎるんだもん。心配。」

「可愛いー。やいちゃった?」

「…うん。」

「大丈夫だから。オトコノコは
脳トレがやばいだけ!」

克はそう言いながら、照れたように
舞の髪をくしゃくしゃに撫でた。


「…今日もありがとうね。
とっても楽しかったし、嬉しかった。」

「俺も。本当ありがとう。
帰りたくねーけど、そろそろ帰ろうか。」

克が舞の手をとって言った。

「うん。帰らなくちゃね。」

「また、ゆっくり来ような。」

広く続く波音を背に
2人はゆっくりと歩き出した。