葉月と仲良くなった風音は、葉月と並んで道を歩く。

会話は無いものの、風音の隣にいるのが心地いいと葉月は感じていた。

「……風音ってさ、いつから幽霊が見えるようになったの?」

葉月の問いかけに、風音は「最近」と答える。

「……そうなんだ。僕は、生まれつき見えていたからなぁ」

葉月がそう言った時、風音は誰かの気配を感じて立ち止まった。

「風音く~ん!!」

「あれ?真冬のお母さん……?どうしたの?」

風音に声をかけた女性を見て、風音は首を傾げる。女性は、片手に握られた青いリボンの付いた扇子を風音に差し出した。

「あの子、これを忘れていったみたいで……『風音に聞きたいことがある』って言って、風音くんの家に向かって行ったから、見かけたら渡してくれない?」

「僕に、聞きたいこと……?分かった……でも、真冬が扇子を忘れるなんて珍しいね」

「そうだね」

「……急がないと。葉月、説明は後でする……今は、真冬を追いかけよう。嫌な予感がするんだ」

女性から扇子を受け取った風音は、葉月の腕を掴むと走り出す。

風音と葉月の姿が消えるまで、女性は微笑ましく見つめていた。