「……ん?」

風音は近くから大きな悪霊の気配を感じ、校庭を覗く。校庭には、風音が今まで見たこともないような大きさの悪霊がいた。

「……何……?あの大きな悪霊……」

葉月は、悪霊の大きさを見て驚く。

「……風音!」

屋上に、颯と私服を着た真冬が着地した。真冬の通う学校は、少し前にあった学校行事の振り替えで休みなのだ。

「あの悪霊……結構大きい……」

真冬は屋上から悪霊を見下ろしながら、呟く。

「……あの悪霊、僕のおじいちゃんを殺した悪霊か?でも、あそこまで大きくなかった気がする……」

風音の言葉を聞いた颯は「悪霊も成長するからねぇ」と悪霊を見つめた。

「風音、僕はここで咄嗟に張った外から中の様子を見えなくしたり聞こえなくする結界を維持しないといけない……悪いけど、悪霊を頼んでもいいかい?」

「……」

風音は、颯の言葉に悪霊を見下ろす。悪霊は校舎を破壊していった。

「葉月、真冬。僕は、今から飛び降りて悪霊のところに向かう。葉月は怪我人の手当てを、真冬は周りにいる小さな悪霊を頼む」

葉月から扇子を受け取り、風音は葉月たちに背を向ける。

葉月と真冬は顔を見合わせると、「うん」と頷いた。