そして、扇子を開くと風を起こして悪霊を浄化していった。

「……っ!!」

風音は近くから強い悪霊の気配を感じ、地面を蹴って走り出す。

風音の視界に大きな悪霊の姿が見え、風音は走りながら扇子を構えた。

大きな悪霊は風音の両親を襲おうとしており、2人は霊感があるのか大きな悪霊を見つめている。

風音は風を起こして空を飛ぶと、一気に加速して悪霊と両親の間に入り込んだ。

悪霊に向かって思い切り扇子を仰ぎ、風を起こして悪霊を吹き飛ばす。

大きな悪霊を吹き飛ばすのに思った以上の霊力を消費した風音は、ふぅ、とため息をついて両親の方を振り返った。

「……風音、いつから幽霊が見えるようになったんだ?」

風音の父親の言葉に、風音は「……おじいちゃんが亡くなってから……いや、正確にはおじいちゃんが亡くなる少し前から」と答える。

「……そうか」

「とりあえず……」

そう呟いて、風音は立ち上がった悪霊に目を移した。

「風音」

空から声がし、風音たちは一斉に空を見上げる。空では颯がふわふわと浮いており、近くでは葉月と真冬が浮いていた。

「……おや?こんなに強い悪霊がいるなんてねぇ……」

地面に着地した颯は、扇子を閉じると口元に扇子を当てて呟く。

「……葉月、真冬?それに、颯まで……?」