葉月が真冬と出会ってから、一週間が経った。

風音は白いパーカーに黒の長ズボンという楽な格好で、階段を降りてリビングに向かう。

「風音、おはよう」

リビングに入ると、ソファーに座って新聞を読んでいた風音の父親が風音に挨拶をした。

風音は「おはよう」と返すと、席に座って食卓に並べられた朝ご飯を食べ始める。

「……そろそろ、パパもご飯食べて。早く準備しないと、置いてくからね?」

「それは困るな」

風音の母親の言葉に、風音の父親は慌てて席に着くと朝ご飯を食べ始めた。

風音たちは、これから近くにある運動公園に遊びに行くのだ。

(……嫌な予感がするな……)

風音はそっとパーカーのポケットに手を入れ、ポケットに入れた扇子を握り締めた。



「僕、遊具で遊んでくる……!」

「分かった。お母さんとお父さんは、ここでシート引いて座ってるから、疲れたら戻ってきてね」

風音の母親の言葉に風音は「はーい」と返すと、遊具のある方に向かって走り出す。

風音たち以外は誰もいないため、風音は両親に見つからない位置まで移動すると立ち止まった。

(……この辺なら、悪霊を浄化しても大丈夫そうだな)

風音はポケットから扇子を取り出すと、空中を漂っている悪霊を見つめる。