伏し目がちで寡黙。全然話さない外国人。
それが宋雨泽の第一印象だったーーー


火曜日17時。

鈴が定刻通りに店入ると、
店長に呼び止められた。

「今日から入るアルバイトの宋くん。
外国人だけど、
日本語能力検定1級を取得してるし、
働く上でのハンデはほとんどないから、
面倒見てあげてね。」

最近はどこへ行っても、
外国人雇用が多く、
雨泽以外にも、
外国人スタッフはいるため、
珍しいとは思わない。
必然的に勤続年数の多い鈴が、

教育係に任命されるのも、
もう慣れっこである。

「相原鈴です。よろしくお願いします。」

少しでも緊張が解れればと思い、
笑いかけると、
雨泽は困った顔をしながら、
聞き取れなかったので、
もう一度、
教えてもらってもいいですか?と、
問うてきた。

その顔が、
なんだか幼い頃の弟にそっくりで、
どこか放っておけないような、
雰囲気を醸し出していたのを、
覚えている。