高校二年秋。



今日は誕生日だ。



いつもの様にアラームで目が覚めた。



2週間前に出来た彼女からメッセージでも来てないかと期待したが、部活のグループでの祝いメッセージしか来ていない…



彼女とは2週間前に突然告白をされて、最近友達に彼女が出来たのに触発されて付き合い始めた。



まぁ、誰からもメッセージ来てないよりはいいけど。
とりあえず彼女におはようのメッセージだけ送って部屋を出た。


リビングに降りて行くと朝からテンション高めの父さんがホールのチョコレートケーキを持って待ち構えていた。



「和樹(カズキ)!誕生日おめでとう!ほら、和樹の好きなチョコレートケーキだぞ」

「ああ…ありがとう…今日普通に学校だからそういうお祝いは夜やって欲しいかな…」


父さんが一番にお祝いしてくれるのは嬉しいけど…俺は朝弱いんだよ…。


「あーっ!パパがケーキ持ってるー!」

「本当だ!かず兄のお誕生日だからだ!食べていいー!?」


後ろから起きてきた小学1年と2年の弟と妹がバタバタと走ってきて父さんの周りを取り囲んだ。


うちは兄弟が多くて他に俺の上に兄が2人と姉が1人いて6人兄弟だ。


兄達は今は全員大学生で三人で別の所に住んでいて、今年からやっと一人部屋になった。


「ほら二人ともケーキより先にお誕生日の和樹に言う事があるだろ?」

「そっか!かず兄お誕生日おめでとう!」

「お誕生日おめでとう!」

「…ありがとう」

小さい弟と妹はそう言って俺の腰に抱き着いて来て2人の頭を撫でてやる。

「パパ、ケーキ持って歩かないでよー!和樹はわかってると思うけど、二人ともそれ食べるの夜だからね!みんな顔洗っておいで」


母さんに言われて父さんは急いでケーキを持って朝食の準備を手伝いに行った。


「あー…ケーキぃ」

「食べたかったなぁ」

「夜大きいところ食べさせてあげるから今は我慢な?ほら、2人とも顔洗おう」

「「はぁい」」


朝は弱いけど小さい2人がいるおかげでダラダラせずにいられる。


「和樹はママとパパの愛の結晶で…ウンタラカンタラ…」

「父さん、その話毎年聞いてるから」


毎年どころか兄弟達全員の誕生日の度にこの話に加えてそれぞれ産まれた日の話を毎回話している。


うちの両親は仲が良くて、俺達にも全員にしっかり愛情を注いでくれて俺はこの家に生まれてきて良かったと思っている。


何だかんだで朝から祝ってもらえて良い気分で家を出る事が出来た。


そして、彼女へ送ったメッセージは既読すら付いていない。