ネットの記事をフリージアが見せる。そこには、ブラウンの長い髪をした美しい女性が仕事をする様子が写っている。凛々しく、強い女性という印象だ。

「ウェンディさんのもとに脅迫状が届いたんですね」

エヴァンがサルビアを見つめ、サルビアは脅迫状の写真を見せる。白い小さな紙に不気味な黒い文字で「ホテルを一斉に爆破する」と書かれていた。

「いつ爆破されるか書かれていない……」

レティシアが呟く。犯行日時がわからなければ対策のしようがない。普通の捜査官なら頭を抱えていただろう。しかし、ここにいる捜査官は違うのだ。

「俺たちのそれぞれ持つ力を使って、犯行を必ず食い止める……」

フリージアが拳を握り締め、エヴァンが「止めないと被害者がどれだけ出るかわかりませんもんね！」と早速ウェンディに会いに行く準備を始める。みんな、捜査をする気だ。

「……」

フィオナは動けなかった。シオンがいない絶望が、この状況になってもまだ離れてくれない。切り替えられないのだ。感情をあれほど戻したいと思っていたはずなのに、その感情を今、疎ましく思っている。