「それと、お前らが落ち着くまでは言わないでおこうと思ってたんだがーーー」

フェリクスの言葉にサルビアは目を見開き、すぐに「この事件の調べます」と返す。

それは、二ヶ月ぶりに捜査を始めるということだ。フィオナは緊張を覚え、胸元を握り締めた。



「今回、捜査するのはサフィニア家に届いた連続爆破予告事件についてです」

サルビアがあの日以来見せなかった真剣な顔をし、フィオナたちの前で話す。まるで、シオンがいた頃と同じように……。フィオナはぼんやりとした頭で見つめる。

「サフィニア家って、いくつもホテルや会社を経営しているお金持ちのグループよね？」

レティシアがそう言うと、「確か、社長の名前はウェンディさんだっけ」とレイモンドも口を開く。みんな、あの頃のような顔に戻っていった。

「ウェンディ・サフィニアは、若くして父の会社やホテルを全て受け継いだが、どんどんグループを急成長させている敏腕社長だ。雑誌やテレビにもよく取り上げられてる」