Tear Flowes〜We are losers〜

「フィオナ、犯人を引き渡したらみんなでご飯でも食べに行かないか？」

フリージアからそんな言葉が出てくるとは思わず、フィオナは目を見開く。シオンが亡くなってから、みんなで食事に行くことなどなかった。

「……フィオナ？」

フリージアに見つめられ、フィオナは「行きましょう、皆さんで」と返す。相変わらず笑顔になれない。でも、笑いたいと思うほど嬉しい瞬間だった。



その頃、ウェンディ家の別のホテルに潜入しているエヴァンとレティシアは荒い息を吐きながら地下駐車場の地面に座り込んでいた。二人の前には拘束した数人の男性がいる。

「やっと、拘束できましたね……」

エヴァンが肩を大きく上下に動かしながら言う。男性たちはとても強く、制圧するのに時間がかかってしまった。

「ええ……。でも、これで一安心だわ。あとは一課に引き渡すだけだもの……」

レティシアがそう言った刹那、コツコツと足音が響く。一般人がこちらに向かっているのか、と二人は顔を見合わせる。