Tear Flowes〜We are losers〜

「ッ！このクソ女！」

もう一人の男性がフィオナの胸ぐらを掴む。その瞬間、フィオナは胸ぐらを掴んでいる指に思い切り力を入れる。そして男性を掴んで投げ飛ばす。

二人の男性を拘束し、フィオナは息を吐きながら顔を上げる。顔を上げると、フリージアが二人の男性を拘束し終えたところだった。事前に爆破事件を防げたのだ。

「フィオナ、サルビアさんに連絡を頼む。……ありがとう」

「了解しました。こちらこそ、ありがとうございます」

フリージアが優しい笑みを浮かべ、フィオナの心が温かくなる。シオンの最期の顔が浮かび、目の前が一瞬ぼやける。あんな最悪なことにならずにすんだ、それが嬉しいのだ。

フリージアが拘束した男性たちを監視し、フィオナはサルビアに電話をかける。すぐにサルビアは出てくれた。

「犯人確保、ありがとう。エヴァンたちからも連絡が来ています。今日が反抗をする日だったみたいですね」

サルビアがホッとしたように言い、フィオナも「未然に防げてよかったです」と返す。男性たちを捜査一課に引き渡せば、潜入調査は終わりだ。緊張が溶けていく。