Tear Flowes〜We are losers〜

サルビアがそう言い、フィオナたちは頷く。そして、フィオナは帰ってしまったフリージアやフェリクスたちに自分の見えた映像のこと、地下駐車場を警戒することをLINEで伝える。

「……必ず、未然に防ぐ」

フィオナはグッと拳を握り締める。しかし、その手はふわりと誰かに包まれた。フィオナが顔を上げれば、エヴァンが優しく微笑んでいる。

「一人じゃないよ」

そうエヴァンは言い、フィオナの頭を優しく撫でる。レティシアとレイモンドはニコリと笑って椅子から立ち上がり、離れていく。フィオナは戸惑いながら、エヴァンを見つめた。

「えっと……ありがとう……？」

フリージアとは全く違う、でも一番よく知っている温もりに、フィオナの心が不思議な音を立てていた。



それから、フィオナたちは地下駐車場を中心に警戒するようになった。豪華な装飾がされた迷路を歩いて仕事をし、フィオナは赤い瞳で辺りを見回す。

潜入を始めて早六日ほど。ホテルのベッドのシーツを替えていたフィオナのもとに、フリージアから無線で連絡が入る。