「この仕掛けのおかげでたくさん家族連れが来てくれるのよ〜」

「確かに、このような仕掛けがあるとお子さんは喜びますね」

フィオナがお客様を見ると、小さな子どもを連れた家族連れが確かに多い。しかし、怪しい人物は何人かフィオナの目に映った。

「フリージアさんがいる方向に、グレーのスーツを着た男性が歩いて行きます」

「了解。マークする」

無線越しに話し、フィオナは大きく息を吐く。従業員たちは爆弾のことを知らないため、余計なことは聞けないため、怪しい人物をマークし、爆弾がないか自分で探し回るしかない。それは想像以上に体力を使う。

「集中、しないと」

シオンの顔が頭に浮かび、フィオナは従業員としての仕事にまた戻った。



周りを警戒するフィオナを、ホテルにあるカフェから見ている男性が一人いた。黒いくしゃくしゃの髪をし、高級ブランドのスーツに身を包んでいる。サングラスをかけ、フィオナをチラチラと様子を伺うように見つめ、コーヒーを口にして新聞を読む。