耳につけられた小型の無線機越しに二人は話し、新人従業員として仕事を始める。

「お客様が見えたら、まずは予約とお部屋番号を確認してね」

「はい」

「そして、お荷物を受け取ってお部屋までご案内するの。その後、お部屋のどこに何があるのか説明をしてね」

「はい」

メモを取り、フィオナはホテルのあちこちを観察する。従業員、客、誰が爆弾をどこに仕掛けるのかわからない。油断はできず、警戒な目を緩めることはできない。

指導係とフィオナは、お客様を部屋に案内する練習をすることにした。階段をフィオナが登っていくと、ある段を踏んだ時に、まるでピアノの鍵盤のような音を立てた。

「音が鳴りますね……」

フィオナがそう呟くと、指導係は「そういう仕掛けがしてあるのよ!」と微笑んでこのホテルにある仕掛けについて教えてくれた。

このホテルは、家族連れに楽しんでもらおうと音の鳴る階段や、隠し部屋、マジックミラーなど様々な仕掛けがされているらしい。