年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

バスを降りてから清水寺までは軽く坂道をのぼっていく。

「ね、ね、あれって舞妓さん?」

着物を着てしゃなりしゃなりと歩く女性に外国人が陽気に写真を撮り、私も思わず興味津々とばかりに潤くんの袖を引っ張る。

「あれは……たぶん一般の観光客だな。舞妓体験してるんだろ」

「面白そう。舞妓になって町を歩いたら一気に人気者じゃん」

「なぎは舞妓にならなくても人気者だろ」

「まあねぇ。いつでもどこでも人気爆発中よ」

「ははっ、なぎらしい」

「でしょ」

明るく笑ってみたものの、自分で自分の首を絞めたような気持ちになった。持ち前の明るさで友達は多い方だと思うし、ちやほやしてくれる男性もまわりにたくさんいた。だけど結婚破棄された今、なんだかひとりぼっちで取り残された気分なのだ。

こんなはずじゃなかった。
私の人生バラ色計画のはずだった。

ううん、だからこそこうして吹っ切るため傷心旅行に来たのだ。幼なじみの潤くんにも会えたし、幸先良いじゃないか。