「お父さん、お母さん、僕はずっとなぎささんのことが好きだったんです。これからもずっと気持ちは変わりません。必ず幸せにするとお約束します」

いつになく真剣な潤くんは、そう宣言してからふと私と視線を合わせる。”そうだろ”と熱い視線で語られてぐっと胸が詰まった。ただの挨拶のつもりだったのに、こんなのまるで結婚の挨拶のようじゃないか。

「なぎさはどうなの?」

「えっ?」

「潤くんのこと、ちゃんと支えてあげられるの?」

「そりゃあ、ちゃんとやるよ」

「こんなに家でゴロゴロして自由奔放なのに、大丈夫かしら」

「お母さん、娘の恥ずかしいこと暴露しないで。こういうときはいい感じに言ってよ」

「なぎさがお嫁に……そうか、ついに……」

「お父さん、気が早い!」

すったもんだの我が家はそれぞれが自由なことを言い放ち、収拾がつかない状態になった。

「ごめん、なんか変な盛り上がりしちゃって……」

静かに聞いている潤くんに詫びると、愛おしそうに目を細めてそっと耳打ちする。

「いや、なぎがご両親に愛されていることが分かってよかった。俺も負けないようになぎを愛すよ」

テーブルの下でそっと手を握られ、低く落ち着いた甘い声が耳に響く。一瞬にして全身がぎゅんと痺れた。