潤くんの言う“すぐ”がどれくらいの時間を指すのかまったくわからなかったけれど、別に焦ってもいない私は大人しくそのまま三条大橋で待つ。

鴨川の土手に座るカップルには背を向けて、川のせせらぎだけをBGMにゆったりとした時間を過ごした。

と、橋のたもとから回りをキョロキョロと伺いながら走ってくる男性が目に入った。それが幼なじみの潤くんだとすぐにわかる。

しばらく会っていなかったから顔が変わっていたらどうしようかと思っていたけれど、まったくの杞憂だ。

背はぐんと伸びて服装だって大人っぽくなった彼だけど、どこか昔の面影が残っている。人懐っこく笑顔が可愛い、でも歳を重ねただけ大人の魅力が増していてまだまだこれからイケメンになるんだろうなと予感させる要素十分だ。

潤くんのその姿を見ただけでなんだかほっとした。

「潤くん、久しぶり」

笑いながら手を振ると、潤くんは穏やかに目を細める。向こうもこちらにすぐ気付いてくれたようだ。