年下男子に追いかけられて極甘求婚されています

「なぎって行動力すごいよな。旅行はいつも一人なの?」

「いや?そういうわけじゃないけど、この歳になるとなかなか友達同士で長期旅行って難しいのよ。早い子はもう結婚してたりしてさ、独り身は遊んでもらえないわけ。でも私は自分の欲求に正直だから、行きたかったら別に一人でも行く感じかな」

「寂しがりのくせにね」

「うるさいなぁ。それとこれは別なのよ。我慢は体に毒」

「確かに」

「潤くんこそ行動力あるじゃない。ロンドンに留学なんて、なかなかできないわよ」

交換留学といっても、希望者全員が行けるわけではない。学力と面接で少ない定員の席を争ったのだ。勤勉な潤くんだからこそのものだろうが、さすがとしか言いようがない。

「まだこっちに来て一ヶ月足らずしか経ってないけど、貴重な経験ができてるよ。英語もだいぶ聞き取れるようになってきたかな」

「なら英語は潤くんに任せた。リスニング全然自信ないのよ。それが唯一の不安だったかな」

あははと笑い飛ばすと急に潤くんは真剣な顔で私を見つめる。

「なぎ、一人で海外なんて危ないから。俺がずっと一緒にいてなぎを護る」

「は?」

「いくらなぎの行動力がずば抜けていても、なぎは女の子なんだから。海外に一人はやめよう?」

「過保護か!」

「過保護でいい。心配かけさせないでくれ」

と言われましても。
あまりにも真剣な顔で言うので反論するタイミングを失ってしまった。私は潤くんの何だというんだ。別に放っておいてくれて構わないのに。

だからといって無下にすることもできない私はモヤモヤとした気持ちを抱えたまま、精一杯強がってみせた。

「もう、女の子って、子供じゃないんだから言い方考えてよね」

的外れな答えではぐらかす。
潤くんに対してはぐらかしたのか、はたまた自分の気持ちに対してはぐらかしたのか。その答えは見えなかった。